ニキビの発症には皮脂分泌が大きく関与しています。
前回ビタミンABCがFoxOという転写因子を活性化して皮脂分泌を抑制し
美白作用を発揮することを報告しました。
高脂質食、高糖質食でニキビが悪化することは周知の事実ですが、
最近どのようなメカニズムでニキビが悪化するのか明らかになりました。
高脂質食や高糖質食によるインスリンやインスリン様成長因子(IGF-1)は
哺乳類ラパマイシン標的蛋白質(mammarian taget of rapamycin)略してmTOR(エムトール)という
蛋白質を活性化します。
mTORにはmTOR1とmTOR2の二種類があり、mTOR1は成長因子や糖、アミノ酸、脂質などの栄養素のセンサーで
エネルギー産生を調節しています。
細胞内にエネルギーが豊富に流入する状態になると活性化されて、皮脂分泌や細胞の増殖を促進します。
mTOR1はFoxOを抑制して、ビタミンA,B,Cの効果をなかったものにしてしまいます。
一方空腹時や運動時はFoxOが活性化されます。
FoxOはmTOR1を抑制、アセチルCoAカルボキシラーゼを抑制して皮脂分泌を抑制します。
すなわち FoxOとmTOR1はお互いを抑制し合って皮脂分泌を制御しているのです。
皮脂分泌を軸にして炎症反応が惹起されてニキビ、赤ら顔が発症するのです。
ですからニキビ、赤ら顔戦略のポイントは皮脂分泌を抑制、炎症反応を抑制ということになります。
皮脂分泌を抑制する毛穴レスローションはビタミンCそして高濃度ビタミンB2,3,5,6を配合してあります。
カクテル美白リフトアップローションにもビタミンCそして高濃度ビタミンB群を配合してあります。
また、リフティングエッセンスには極めて高濃度のレチノ―ル(ビタミンA)を配合してあります。
生体ではレチノールからレチノイン酸が合成されます。
この時に鍵となる酵素はレチノールデヒドロゲナーゼ(LDH)という酵素です。
インスリンはLDHの合成と活性を抑制してレチノイン酸の産生を抑える作用があります。
LDHはビタミンB3依存性の酵素でビタミンB3が豊富に存在すると活性が増加します。
すなわち、高糖質食によるインスリンの作用をビタミンB3は抑制する作用を持っているのです。
LDHはFoxO依存性に活性化されるという報告もあります。
つまり、ビタミンA,B,Cの内服や外用は直接的に皮膚のビタミンAレベるを上げるだけでなく
FoXOを活性化して皮膚のビタミンAのレベルを増加させるのです。
これらの外用剤は皮脂分泌を抑えるだけでなく、
炎症反応を抑制してニキビ、赤ら顔の治療に効果を発揮します。